奈良といえば、東大寺とその大仏が最も象徴的な存在です。東大寺は、8世紀に聖武天皇が仏教による国の安泰を願って建立した寺院で、日本の古代史を語る上で欠かせない遺産です。大仏、正式には「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」と呼ばれるこの巨大な仏像は、仏教における宇宙の中心を表しています。高さ約15メートルの堂々たる姿は、国内外から訪れる観光客を魅了します。大仏殿そのものも、世界最大級の木造建築として圧巻の規模を誇ります。また、大仏殿にある柱の穴をくぐると無病息災を願うことができるという伝説も広まり、人気の体験スポットとなっています。
奈良公園と鹿との共存
奈良公園は、広大な敷地に約1,200頭の鹿が生息する場所として知られています。これらの鹿は神の使いとされ、古くから手厚く保護されてきました。特に春日大社の神域と深い関係があり、神聖な存在として人々に尊敬されています。奈良公園では「鹿せんべい」を購入して鹿に餌を与えることができますが、鹿が頭を下げてお辞儀をする姿が観光客の人気を集めています。また、鹿と共存するこの地域では、「鹿の角きり」という伝統行事が行われており、人と動物が調和して暮らす奈良の文化が色濃く表れています。
奈良の大仏と東大寺の歴史